この記事の目次
はじめに
介護保険に関わる仕事に就いて10年ほど経過しますが、実際の状態が反映されずに、軽い要介護度が認定されてしまったのではないかという方を多く目にしてきました。
実際の状態に見合った要介護度が認定されるためには、訪問調査に向けての準備も大切になってきます。このページでは、介護保険認定(更新)の訪問調査の概要と調査に向けての準備などについて、簡単に分かりやすく解説していきたいと思います。
また、介護施設で働くスタッフの方に向けて、認定(更新)を前に不安を抱いているご本人・ご家族配布して説明できるように、『介護保険認定(更新)の訪問調査に向けての準備』という資料も作成しています。ダウンロードしてお使い頂けたらと思います。
介護保険認定(更新)の訪問調査とは
介護保険認定(更新)の訪問調査とは、自治体に要介護認定(更新)を申請した際、訪問調査員が自宅などを訪問し、調査対象のご本人の身体や生活の状態について質問などを中心に調査を行うことです。
実際の訪問調査で質問される具体的な内容は、身体に麻痺が無いか、移乗・歩行などの状態、トイレ・着替え・食事などの生活機能など6項目50問以上の質問で構成され、調査が行われることになっています。
実際の調査の時間は、30分から1時間程度で終了することが多いようで、実際のご本人の身体状況・ご家族の介護などの状態を的確に伝えていくためには、訪問調査時の質問の内容を確認して、普段の生活状態に沿った返答を準備していくことが望ましい思います。
介護保険認定(更新)の訪問調査時の質問の詳しい内容は、こちら(厚生労働省ホームページ)からダウンロードできます。
介護保険認定(更新)の訪問調査の準備
可能であれば家族が同席する
介護保険の認定(更新)の訪問調査対象のご本人は、『訪問調査員の方に普段の能力以上に見られたい』、『日常生活の中の動作ができないと思われたくない』などという意識が働いて、普段の生活では、できない・やっていないことでも『できる』と答えてしまうようです。
ご本人の普段の生活している状態をありのままに、的確に伝えるためにも、可能であればご家族が同席することが望ましいと思います。ご家族が介護保険(更新)の訪問調査に同席し、介護している家族から見ている生活の様子を伝えることによって、認知面の低下(物忘れ・注意力低下)などが生活に及ぼす影響なども訪問調査員の方が把握しやすいと思いまず。
また、ご本人が思っている・感じている身体や生活の状態だけではなく、介護している家族が感じている身体や介護の状態を話しておくと、より正確な判定結果につながっていきます。
普段のありのままの状態にしておく(片づけたりしない)
訪問調査員の方が来る前に、ご家族が家を掃除してキレイにしたり、寝室・ベッド周囲を整える方が多いですが、これは、実際の状態を適切に評価してもらうには逆効果です。
訪問調査対象のご本人が、『できない』部分を説明するためにも、普段の生活しているありのままの家の状態にしておいて、評価してもらう方がいいと思います。
介護保険認定(更新)の訪問調査の質問に対して返答を準備する
調査員の方から質問される具体的な内容は、身体に麻痺が無いか、移乗・歩行などの状態、トイレ・着替え・食事などの生活機能など6項目50問以上と多数の質問で調査することになっていますが、実際の調査の時間は、30分から1時間程度で終了することが多く、実際のご本人の身体状況・家族などの介護の状態を短い時間で的確に伝えていくためには、質問の内容を確認して、普段の生活状態に沿った返答を準備していくことが望ましいと思います。
時間帯やその日の体調によっても、歩行状態や生活機能は変化することがあります。よって、日によって状態が変化するという点も考慮して、回答を準備しておくといいと思います。
『介護保険認定(更新)の訪問調査』のご本人・家族配布資料
介護保険認定(更新)の訪問調査のご本人・ご家族配布資料を作成しています。認定(更新)を前に、不安を抱いているご本人・ご家族などに配布し、使用してもらえたらと思います。
ダウンロードはこちらから⇒介護保険認定(認定)の訪問調査に向けての準備(PDF)
介護保険認定(認定)の訪問調査に向けての準備(Word)
おわりに
ご家族の方が想像する以上に、調査対象のご本人が、実際の生活では『できない』ことを『できる』と質問に答えてしまい、実際の状態と乖離した要介護度が認定されてしまったという話は多いように感じます。
実際の状態とは違う要介護度が認定されてしまうと、必要な介護保険のサービスを受けることができなくなるかもしれません。そうなってしまうと、介護するご家族にも大きな負担がかかってしまうのです。
そのような状態を防ぐためにも、訪問調査の概要を把握し、事前の準備を適切に行っていきましょう。