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介護休業給付金制度ってどんな制度なの?
介護休業給付金とは、家族を介護する目的で介護休業を取得した場合(職場に復帰することを前提として)に、支給される給付金です。
このページでは、介護休業とはどのような制度なのか、また、その給付金制度の簡単な概要、介護休業給付金の具体的な給付条件、介護保険給付金の申請の流れと提出書類の種類とその申請先、注意点などについて、分かりやすく説明していきます。
介護休業とはどのような制度なの?
介護休業とは、怪我や病気、身体や精神上の障害などの理由から、2週間以上の期間において、常に介護が必要である家族を介護することを目的に取得できる休暇制度です。
介護休業を取得している期間に、当該の従業員に賃金を支払うことは、法律上義務付けられておらず、企業側には支払う義務はありません。
会社によっては給料の何割かを支払う制度を設けているサポートの手厚い会社もありますが、ほとんどの企業がが介護休業取得期間の賃金は無給になるか、少なくなってしまいます。
こうした収入の減少を補うために、介護休業給付金制度という家族を介護する従業員をサポートする制度があります。
『介護休業』についての具体的な説明は、以前の記事のこちらのページを参照して下さい。
介護休業給付金の具体的な給付条件とは
- 雇用保険の被保険者または高年齢被保険者で介護休業取得後に休業前の職場に復帰する予定の従業員
- 介護休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算12か月以上ある従業員
有期契約の人は、申出時点で更に次の2つの要件も満たすこと
- 入社1年以上
- 介護休業取得開始予定日から数えて93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
介護休業給付金の実際の支給額はどれくらいになる?
介護休業給付金の支給額は原則として、介護休業開始前に支給されていた平均賃金の67%となります。
介護休業取得期間中にも何割かの給料が支給されている場合は、この給料の金額に対する割合によって支給額が変わります。
日額賃金×支給日数×67%相当額の合計が、介護休業取得開始時の月額賃金の80%未満であれば、介護休業給付金が支払われます。
①支給単位期間中に月額賃金の13%以下の賃金を受けた
→月額賃金の67%相当額
②支給単位期間中に月額賃金の13%超~80%未満の賃金を受けた
→月額賃金の80%相当額と賃金の差額が支給
③支給対象期間中に支払われた賃金が、月額賃金の80%以上
→不支給
また、支給額には上限と下限の額が定められており、毎年8月1日に変更されます。
介護休業給付金の申請の流れと提出書類の種類とその申請先とは
介護休業給付金の支給手続きは、従業員から企業、企業から公共職業安定所の順序を踏んでいきます。
従業員から企業へ
従業員が企業へ提出する書類は以下の書類となっています。
介護休業の取得開始希望日のおおよそ2週間程度前までに会社に申請書を提出するのが一般的です。
①介護休業給付金支給申請書
従業員本人が申請書に記入し、企業へ提出します。
こちら(厚生労働省ホームページ)からダウンロード可能です。
従業員本人が申請書に記入し、企業へ提出します。
こちら(厚生労働省ホームページ)からダウンロード可能です。
②介護対象の家族の名前、従業員との続柄、性別、生年月日などが確認できる書類(住民票記載事項証明書など)
③支給希望口座番号(銀行口座通帳のコピーなど)
企業から公共職業安定所へ
企業から公共職業安定所に申請する際に必要な書類は以下の通りです。
- 従業員から提出された書類
- 従業員が企業に提出した介護休業申出書
- 介護休業開始時賃金月額証明書
- 企業で記録している当該従業員の賃金台帳や出勤簿(タイムカードなど)
企業から公共職業安定所に、上記の書類を合わせて提出し、介護休業給付金の申請を行うことになっています。
申請の期間は、介護休業終了日の翌日から2カ月後の月の月末までとなっています。
介護休業給付金制度における注意点とは
介護休業給付金は介護休業取得期間中にはもらえない!?
介護休業給付金が実際に手元に入ってくるタイミングは、介護休業取得が終了してから数ヶ月経ってからです。
これは、介護休業を取得する従業員本人が、会社に介護休業給付金の申請を済ませていても、会社が介護休業給付金に関する提出書類を公共職業安定所に申請する定められた期間は「介護休業取得終了日の翌日から2カ月後の月の月末」となっているためです。
例えば、5月18日が介護休業の終了日である場合は、5月19日から7月31日までが会社から公共職業安定所への書類提出期限です。会社が、書類提出期間ギリギリの7月31日に申請書類を提出した場合、給付金の受け取りは8月10日前後になります。
介護休業給付金を申請する従業員本人が会社に書類を提出する期間がいつになるかだけではなく、会社がいつ公共職業安定書に書類を申請するかによって、介護休業給付金を受け取れるタイミングが大きく変わってくるのです。
社会保険料を払う必要がある
介護休業取得期間中には、社会保険料が免除される制度がなく、介護休業取得期間中の賃金が無給であっても、健康保険や厚生年金を支払う必要があります。
ただし、雇用保険料は、介護休業取得期間の賃金が無給であれば発生しません。